Fuck the BlackCompany

40歳以上の老害とブラック企業の撲滅運動中

すき家の第三者調査委員会報告書を簡単にまとめてみた

 

 

http://www.sukiya.jp/news/tyousahoukoku%20A_B.pdf

 

「すき家」の労働環境改善に関する第三者委員会報告書(PDF)

 

先日すき家労働環境改善を図るための第三者調査委員会による調査報告書が公開された。

報告書を簡単にまとめてみた。

頑張ったので褒めてw

 

 

■1.労働環境の調査

1.違法上等!!

▶︎労基から指摘を受けた違反件数

2012年度 14店舗 13通

2013年度 49店舗 49通

2014年度 2店舗 2通

 

▶︎内容トップ3(括弧内は累計件数)

・労基法32条違反:時間外労働に関する協定の限度時間を超えて労働させていること(47件)

・労基法34条違反:法定の休憩時間を付与していないこと(23件)

・労基法32条、60条違反:18歳未満の労働者に法定の除外事由がないにもかかわらず、時間外労働を行わせていること(12件)

 

 

2.労働実態

調査委員会すき家の運営は違法で、働く社員の生命、身体、精神に危険を及ぼすよー」

以下、8つの理由。

(1)過重労働

すき家の過重労働は多数の社員を過労で倒れさせ、又は鬱病に追い込むなど、
社員の生命・身体・精神の健康に深刻な影響を及ぼしていた。

 

  • すき家の非管理監督者社員の平均月間残業時間は多いときで約80時間
  • 少ないときでも40時間を超えており、月間残業時間が100時間以上の社員がしばしば100名超え
  • また同100時間以上のクルーも常に数百名いる状況

 

▶︎前提

<社員>

  • すき家社員の所定労働時間は、1日8時間
  • 36協定上、業務繁閑の場合に1日8時間、1ヶ月45時間及び1年360時間の限度で労働時間を延長できる
  • さらに同協定特別条項により一定の場合には年6回を限度として、1ヶ月80時間、1年750時間の限度で労働時間を延長できる

<クルー>

  • すき家クルーの所定労働時間は、1日8時間又は 1週間について40時間以内が標準
  • 36協定上、1日8時間、1ヶ月45時間及び1年360時間の限度で労働時間を延長できる
  • さらに同協定特別条項により一定の場合には年6回を限度として、1ヶ月60時間、1年630時間の限度で労働時間を延長できる


▶︎実態

<社員>

  • 店舗において24時間連続で勤務する「回転」という技が発明される
  • 店舗勤務経験を有するほとんどの社員が「回転」を経験
  • 恒常的に月500時間以上働いていた人がいた
  • 店舗における業務が多忙で2週間家に帰れない人もいる

<クルー>

  • 月間労働時間が400〜500時間な人もいる
  • 断る事が苦手な人や、優しい人達などが酷いシフト状態になっている
  • 休み無し、家にも帰れず車または店舗の更衣室などで寝ている
  • ただし自ら長時間労働を希望する人もいる

 

▶︎トピック

店舗における過重労働は多数のすき家社員の「交通事故の発生要因」となっていた

  •  社員による居眠り運転が原因の交通事故は少なくとも7件発生(2012年度)
  •  しかも幹部は、過重労働が社員の交通事故の発生要因となっていることを認識していた

 

(2)サービス残業

▶︎前提

すき家労働生産性・効率性を高めるため「労時」ないし「労時売上」なる指標が導入されている

「労時」「労時売上」=店舗従業員1人当たりの1時間当たりの売上金額

<仕組み>

  1. 「労時」はまず基本シフトを作成する際に使用
  2. 本部が予測する一定期間の売上高を、本部が定める一定金額で割る
  3. 当該期間において投入可能な労働時間が決定し、各時間帯の投入可能な従業員数が決定される
  4. 各店舗従業員は設定した「労時」を上回ることを目標として日々稼働する

社員もクルーも勤務時間はデイリー勤怠報告書にて報告している

 

▶︎実態

  • 「労時」は毎月取締役会に対して報告され、現場は簡易な管理指標として使用
  • 現場のマネージャー及びクルーは、労時売上を意識して稼働する者が多い
  • その結果、エリアマネージャーは自らサービス残業を行う
  • 社員・クルーにも実際の労働時間をデイリー勤怠報告書に記録しないよう求める

管理監督者社員・クルーは15分単位で、かつ15分に満たない端数時間については切り捨て

  • クルーでも牛すき鍋の仕込みのために本来休みの日に店舗で作業
  • 勤務時間を3時間延長したことでエリアマネージャーから指摘を受けたくないため申告しないクルーもいる
  • エリアマネージャーの意を忖度して1時間残業しても30分しかつけない
  • 1時間当たりの売上が目標に達しないような場合、実際に働いてたのに休憩を取得したとして処理するよう事業者側から指示

▶︎なぜなのか

「設定労時」が達成できない場合は人員の削減につながり、業務がより過酷になることを恐れて、「労時」を確保するためサービス残業をしている

 

(3)社員のプライベートの喪失

▶︎前提

  • 現場に近い社員は店舗の運営に直接的な責任を負っている
  • エリアマネージャーは勤務時間外・休日も店舗、クルーからの携帯電話への連絡に対応
  • すき家では自宅における電話対応の時間は労働時間として把握されていない

▶︎実態

  • エリアマネージャーは携帯電話の対応に1日中追われ、深夜まで休むことができない
  • 電話が一日中かかってきてプライベートがない

 

(4) 一人勤務体制(ワンオペ)

▶︎なぜなのか

予測売上額に応じて投入可能な労働時間が決定されるため、売上が小さい時間帯は必然的に一人勤務体制「ワンオペ」が発動

 

▶︎超絶マニュアル!参上

  • 効率性追求のため、接客、清掃、調理などの個々の作業について詳細なマニュアルを作成
  • しかし同マニュアルは作業の標準時間として最速時間を記載し、最も能力の高い従業員を基準に作成するという暴挙
  • これにより、すき家におけるワンオペ時の労働環境更に過酷なものとなった

 

▶︎ワンオペがもたらした効果

  • ワンオペにより仮に6時間以上の連続勤務でも休憩時間を確保することができない
  • ワンオペにより10時間以上もの間、休憩時間をとれずトイレにも行けない
  • ワンオペにより店舗運営の質が低下し、顧客サービスが疎かになる
  • ワンオペにより店舗の清掃作業が疎かになっており、店舗が不衛生になっている
  • ワンオペにより状況によっては顧客を待たせ、顧客からクレーム又は暴言を言われる
  • 深夜時間帯のワンオペにより強盗事件(未遂含む)が相当数発生

▶︎2011年10月13日付で「防犯強化のため深夜時間帯のワンオペを順次解消する」と公表

  •  だけど未だに深夜時間帯のワンオペは解消されていない(2014年現在)
  •  ワイヤレス非常ボタンを導入しただけでワンオペ改善はしない
  •  強盗が入り警察から言われてやっとのこと2オペにしたけど、あっという間にワンオペに戻す

 

(5) 休憩時間の非付与/恣意的運用

▶︎前提

「恣意(しい)」とは
  - (1) その時々の気ままな思いつき。自分勝手な考え。
  使い方:「会長の―によって方針が左右される」 

▶︎実態

  • 約68%のクルー、半数以上の社員は勤務時間6時間以上でも45分以上の休息は取れない
  • 労基から休憩時間付与の懈怠で多数の是正勧告、及び指導を受ける
  • 売上が落ちる日に労時アップの手段としてクルーの休憩を利用
  • 「労時」次第で休憩の取得の有無を決める
  • 時間帯売上げが低いときは、実際は働いているのに休憩扱い

だがクルーの中には、休憩をとるよう指示されることに対して不満に思う人もいる

  • 深夜は2オペで休憩を強制されるよりも、ワンオペで休憩時間が無い方が助かる人がいる
  • 休憩時間をとるよう指示すると怒るクルーもいる

 

(6)限度を超えた休日労働

▶︎前提

<社員の所定休日>

  • 毎週1回交替制の法定の休日
  • 毎週1回交替制の法定外の休日
  • 国民の祝日(日曜日と重なった場合は翌日)

<クルーの所定休日>

  • 1週間のうち1日又は4週間のうち4日

<36協定上(社員・クルー)>

  • 業務繁閑対応のため、1ヶ月のうち2回まで(法定)休日に労働させることができる

 

▶︎実態

  • 2012から2013年度にかけて36協定の限度を超えた休日労働を行わせたとして、労基から6件の是正勧告を受ける
  • 約36%のクルー、半数の社員が「休日が少なすぎる者がいる」と認識
  • 現場「休みがない、3ヶ月に1回あれば良い方

(7)年少者の深夜労働及び賃金不払い

労基法61条

使用者は、原則として満18歳に満たない者を午後10時以降から午前5時までの間において使用してはならない

※注意:法律です

 

▶︎前提

  • 高校生クルーについては、多少の余裕を見て午後9時30分以降勤務させないよう注意喚起(店舗によっては午後9時)

▶︎実態

  • 2012〜2013年度にかけて、労基から労基法61条違反を4件指摘される
  • 親からクルー相談窓口に対し、午後10時以降の勤務について多数の苦情が寄せられる
  • 当該時間以降も勤務させられたにもかかわらず、上司から「労働時間として申請しないよう」指示された
  • 高校生クルーに対する当該時間以降の労働についての賃金不払いに繋がったこともある
(8) 外国人留学生の就業制限を超える労働

▶︎前提

外国人留学生については、原則として労働時間を1週28時間以内に収めなければならない

▶︎実態

  • ルールに違反した外国人クルーが存在する
  • ルールを遵守させていると述べる者がいる一方で、そもそもルールを認識していない者もいた

 

3.組織が機能しない

すき家とその親会社には社内で起こる問題に対して7つの機関が存在していたが、ことごとく機能していなかった。

(1)SK労働安全委員会

▶︎前提

<委員会設置目的>

労災事故発生件数、健康リスクに関わる過重労働者数が増加傾向。

この状態が継続すると会社としての重大なリスクを招く可能性が高いとの問題意識のもとで、「革新的に改善すべく」「現場と相互協力し、根本対策を実施してゆく」ことを目的として設置

<開催>

2012年11月以降、月1回のペースで開催

<参加メンバー>

すき家営業本部の責任者(COO又はGM)、人事労務担当、親会社の取締役グループ人事・総務本部長、人事部長、労政担当ら

 

▶︎実態

  • 従業員及びクルーの時間外労働や18歳未満のクルーの深夜労働・時間外労働についての現状報告及び対策の確認等はなされていた
  • 過労死の労災認定の過重労働基準(※1)の情報共有
  • 過重労働解消のため上位の過重労働者(※2)を特定し、その上司らが解消のために個別管理・個別対応を行うといった対策を実施(※3)
  • 全社的過重労働、人員不足という実態を状況改善するための「革新的な根本対策」については十分な議論・検討がなされるということはなかった
  • 本委員会における報告や議論・検討内容が取締役会に報告されていた形跡はない

※1=労働災害過労死)として認定される過重労働基準は、過去6ヶ月平均の時間外が
80時間、又は1ヶ月100時間であり、その他については発生場所や死亡原因により業務起因性を問われる

※2=月間時間外労働160時間以上あるいは、100時間以上160時間未満の社員

※3=対応は2013年6月から9月にかけては一定の成果を上げていた

 

(2)総合リスク管理委員会・コンプライアンス委員会

▶︎前提

<設置目的>

コンプライアンス経営を実現するためコンプライアンス委員会」を2008年12月に設置

また以下を目的として「総合リスク管理委員会」を設置

  • リスクの網羅的かつ適切な認識、管理すべきリスクの選定、リスクの定期的見直し
  • 個々のリスクに対する対処責任の明確化
  • グループとしてのリスク対応方針の策定、担当部門におけるリスク対応策の確認

<開催>

総合リスク管理委員会:2011年2月以降、四半期に1回のペースで開催

コンプライアンス委員会:2013年5月以降、リスク管理委員会の開催と合わせて、四半期に1回のペースで開催

<参加メンバー>

両委員会は同じメンバーで構成

2013年8月以降は取締役グループ人事・総務本部長が委員長、その他本社の本部長、部長あるいはGMクラスの役職者ら

 

▶︎実態

  • 両委員会においては時折、労災に関する報告や議論が行われることはあった
  • 過重労働その他労働環境に関するリスクあるいは労務コンプライアンスに関する報告や議論がなされることはほとんど無かった
  • 両委員会の活動概要については半期に一度、親会社取締役会に報告
  • だが両委員会において過重労働等が問題とされていなかったため、親会社取締役会で報告に基づいた議論、検討がなされていた形跡はない

(3)人事部門・労政部門

▶︎前提

▶︎実態

  • メンバーが同じだが、親会社とすき家での役割分担はなされていない
  • すき家における労働時間管理等の労務管理を主に担当しているのは人事総務部内の人事労務課
  • 同部署が把握していた過重労働の実態については、上述した労働安全委員会等で共有されていた
  • すき家人事労務課は、2013年3、4月以降、退職手続を変更(※)
  • 退職理由については、すき家営業本部、すき家人事労務課、すき家COO、親会社グループ人事・総務本部、取締役グループ人事・総務本部長まで共有されていたが親会社あるいはすき家取締役会に報告されていた形跡はない

※=社員が退職する際、当該社員の上司に退職理由の確認を義務づけることとした


(4) 内部監査室

▶︎前提

<活動内容>

  • 2013年2月〜5月の調査を実施。報告書の内容は下記の通り
  • 内部監査報告書を事前に提出した上、6月12日に個別に時間を取って当該報告書の指摘事項の要点について社長に説明し報告
  • 当該報告書には社長の決裁印が6月12日付で押印されている
  • 同年6月5日、親会社の取締役グループ人事・総務本部長、常務取締役、監査役2名、すき家監査役、COO、営業担当GMらを対象として「監査講評会」を開催し報告書の内容について共有
  • 監査講評会を受けて出席者から提出された意見書の内容は下記の通り


<報告書内容>

  • 店舗マネージャーの勤怠実績は過小申告が懸念される
  • 『労時アップ』になる事を懸念して、見かけ上の労時改善、人件費圧縮を意図している
  • (過重労働からか)居眠り及び不注意等により車両事故が発生している
  • 車両事故の背景から、店舗クローズをしない為にシフト時間を延長して穴埋めしている従業員がいる
  • 3回以上の複数事故者の傾向から、長時間勤務若しくは若手社員に事故が集中している

<監査講評会開催後の意見書内容>

  • 指摘事項の内容自体は至極最もであるが、以前からの課題であるケースがほとんどと考える
  • 感覚論と根性論で「やります!!」と言ってみても改善しない可能性大
  • 課題に対して、責任部署&責任者を明確にしてスケジュール管理と進捗管理を定期的(月次等)にすき家内で行っていただく必要がある
  • までダメだったものがどうやったら出来るようになるのかを突き詰めて考え、ルールの整備と、組織整備、コミュニケーションの強化を行う必要がある
  • 組織内のコミュニケーション強化も大事なポイントであり、各課・チーム単位での悩みや、何故進捗できないかの赤裸々な理由もヒアリングしていく必要がある
  • 売上・入客数 UP にのみ意識が行きがちなので、事務方の長が強い意思を持って営業方にアドバイスとルール変更起案、進捗管理を行うべき
  • シフト運営(人ぐり)が思考停止の根源になっている地域も多いので、採用のフローと体制の見直しも必要かもしれない


▶︎実態

  • 書類に判子を押した社長は、当該報告書の指摘内容についてよく覚えていないとのこと
  • 経営幹部あるいは内部監査部から監査結果について、親会社又はすき家の取締役会に報告されていない
  • 講評会での意見内容はすき家における問題点及びその解決策を適確に指摘した正論だった
  • しかしすき家では、意見を受けて問題解決のための抜本的な対策が取られた様子は見受けられない
  • 売上等につながらない業務については、各自がそれぞれの立場から正論を言うだけで、具体的なアクションにはつながらない

 

(5) 労働組合(ZEAN)

▶︎前提

ZEANは、ゼンショーグループの社員及びアルバイト(クルー)により組織された労働組合(2011年8月結成)
加入率は社員100%、アルバイト82%、加入数はおよそ2万5千人。

  • 約3ヵ月に一度の頻度で、労使協議会を開催
  • 組合員の声から労働実態を適宜、会社(※)に共有して対応するよう要求している

※=すき家の人事総務部、営業本部のGM、親会社のグループ人事・総務本部等

 

▶︎実態

  • 労使協議会においてZEANから長時間労働解消に関する具体的な申入れがなされた形跡はない

(6)すき家取締役会・監査役

▶︎前提

すき家取締役会>

  • 概ね月に1回開催
  • 2012年11月に第1回SK労働安全委員会が開催され、取締役が出席

すき家監査役

  • 監査役はいずれも親会社の役職(※)と兼務しており非常勤
  • 監査役は親会社の監査役と適宜、「すき家監査役連絡会」と称する意見交換会を開催
  • 監査役3名はいずれも、2013年6月5日に行われた「すき家カンパニー監査講評会」において、内部監査室による報告を受けており、この時点ですき家に過重労働問題が存在していることを認識していた

※=グループIT本部の本部長(執行役員)、グループ財務部の部長、グループ経理部のAs.GM

 

▶︎実態

すき家取締役会>

  • 2012年11月には過重労働問題が存在していることを認識していた
  • すき家取締役会において労務問題について何らかの決議がされたことはない
  • 報告事項として報告されたものは月次業績報告のみ
  • すき家取締役会では労務問題が報告され、内部監査報告書の指摘事項に対する対応方針、労務問題について議論がなされた形跡はない

すき家監査役

  • 監査役連絡会は、2012年以前は四半期に一度程度開催されていたが、2013年以降はほとんど開催されていない
  • すき家監査役は「[過労死リスクについて]真剣に考えていればもっと対策を打っていたと思う。……深い思いは正直無かったと述べた
  • 監査役は過重労働に対する問題意識が希薄であり、それゆえ、この点について取締役会に対する報告・指摘が行われた形跡はない
  • また内部監査報告書の指摘事項に対して、どう対応したかについての確認が行われた形跡もない

(7)親会社取締役会・監査役会

▶︎前提

<親会社取締役会>

  • 概ね月に1回開催
  • 2012年11月に第1回SK労働安全委員会が開催され、現取締役が出席
  • 半年に一度、総合リスク管理委員会・コンプライアンス委員会の活動報告がなされている

<親会社監査役


▶︎実態

<親会社取締役会>

  • 2012年11月には過重労働問題が存在していることを認識していた
  • 労務問題について決議事項とされたことはない
  • 過重労働等の労務リスクに関する議論、検討がなされた形跡はない
  • その他、法令違反を伴う労務問題を認識していた親会社のいずれかの取締役又は監査役から取締役会に対して当該労務問題が報告された形跡はない

<親会社監査役

  • 監査役会は2013年度の「監査の方法」のテーマ監査として「労務監査」を掲げるが、かかる監査は実施されていない
  • 監査役連絡会は、2012年以前は四半期に一度程度開催されていたが、2013年以降はほとんど開催されていない
  • 常勤監査役はいずれも、2013年6月5日実施の「すき家カンパニー監査講評会」において内部監査室による報告を受けており、過重労働の指摘より、遅くともこの時点で問題があることを認識していたが、監査役会で議論された形跡はない
  • 2014年3月に起きた多数の店舗のイレギュラークローズについて、常勤監査役すき家社長からヒアリングを行い、経緯を確認しているものの、監査役会において対応策を議論したり、取締役会に対して報告・指摘が行われた形跡はない
  • 内部監査報告書の指摘事項に対してすき家どう対応したかの確認が行われた形跡はない

(8)まとめ
  • すき家、親会社においては労働安全委員会、人事部・労政部、内部監査室、労働組合(ZEAN)により、過重労働その他労働環境に関する実態についての把握や報告がなされ、すき家営業本部や取締役・監査役、親会社取締役・監査役も含めて、社内で一定程度、共有されていた
  • また、このうち、少なくとも内部監査室による報告書に記載された過重労働問題にかかる指摘については、社長も報告を受けて認識していた
  • しかし、こうした情報を目の前にしても、社長を初めとする経営幹部、その他担当者らこれを企業経営に直結するリスクあるいは重大なコンプライアンス問題と認識することはなかった
  • 本来こうした問題に最優先で取り組むべき総合リスク管理委員会やコンプライアンス委員会が本来の役割を果たすことはなかった
  • 人事部門・労政部門においては、各担当者から取締役グループ人事・総務本部長に至るまで、過重労働等に係る法的リスクについて一定の知識・認識を有しており、社内でも警鐘を鳴らしていた模様ではあるが、最終的には営業本部の判断・対応に委ねるという姿勢にとどまっていた
  • こうした情報を認識していたすき家及び親会社の取締役・監査役も取締役会への報告や問題提起を行うことはなく、過重労働問題等について全社的な検討・対応がなされることはなかった
  • このような各部門・各機関の対応からは、目の前にあるはずの過重労働問題等に対する“麻痺”が社内で蔓延し、「業界・社内の常識」が「社会の非常識」であることについての認識が全社的に欠如していたものと言わざるを得ない

 

 

■2.労働環境が最悪になった原因

1.経営出来る幹部がいないよー

(1)負のスパイラル作ったのは幹部

現場に無理させない限り不可能な新規出店を続けてたよね?

結果、社員の長時間労働は常態化から法律違反ライン超えに進化

人員管理業務は「シフト調整」だけで、「ケア」なんてナッシング

(2)幹部には危機意識を持つ人いないよー
  • 人手不足の認識はしてたけど、過重労働の認識はなかったよー
  • 目の前で起こってる過重労働問題にも何も動かないよー
  • 自分の所属する会社なのに当事者意識が全くないよー
  • 調査してる時も過重労働が続いててヤバいから調査委員会は「直ちに動け!」って内容の勧告書を送ったよー


2.組織が自分たちで自律する機能がないよー

(1)自浄作用の欠如
(2)自己責任論者大多数
  • 自己責任論大好きが多過ぎw
  • 上から下への責任の押し付けは在庫多数!
  • 下による押し付けられた責任の抱え込みも在庫多数!
  • 「言い放し」「聞き放し」で具体的に行動をしなーい
  • 組織規程・業務分掌規程が整備されてないから超カオス状態
  • だから現場がその場しのぎの対策をするしかなーい
(3)頻繁な組織変更とか異動とか大好き!
  • 伝家の宝刀「ダイナミックマネジメント(意味不明)」
  • 月に1回の異動とか当たり前!
  • マネージャーの各現場に応じた臨機応変な対応を困難にするよー
  • 会社で働く人たちの人間関係を希薄なものにするよー
  • 幹部「働く人がいないならマネージャーが代わりに働けばいいじゃん」
  • 幹部「マネージャーなんか使ってなんぼの消耗品」

 

3.現在の経営幹部の言動に大きな問題あるよー

(1)経営幹部の思考・言動パティーン一覧

過重労働を含む劣悪かつ慢性的なすき家労働環境常態化を招いた、大きな要因はこちらです。

【思考・言動パティーン一覧(別名「伝説語録の宝庫」)】

  • 法律を守ろうという意識が欠如、”足りない”じゃなくて欠如
  • 24時間営業だからって「24時間働け」は言っちゃ駄目でしょ
  • 顧客は大事だけど、社員は大事じゃないよ。消耗品だから…。
  • 過重労働でサービスが低下するわけがないだろう、JK
  • 俺らは幹部(キリッ)で従業員じゃないから(ドヤ)
  • 過去の武勇伝大好き!
  • え?…従業員は人じゃないから…
  • 時代も世代も変わったけど、俺らと同じことやってりゃいいんだよ
  • リスクって何?外国語?
  • 人手不足って場所によるでしょ、ならとりあえず他から人送っとけよw
  • 働く人が少なかろうが新規出店はやめられないっしょ
  • 新商品で売上あげるー!ちょっと日本語でお願いします
  • 商品提供の最速タイムが標準タイムだ!(ドヤ)
  • 労働は精神
(2)実際に幹部達に聞いてみた(QA集)

本当にこれを言ってたとしたら頭がおかしいと思いますが事実です

最早「社会インフラ」じゃなくて「社会悪」の領域。

以下報告書の一部を本文をそのまま抜粋

 


【「24 時間、365 日営業」について】

Q「(過重労働問題への対応として)営業時間を短縮するという話は?」

A「ない。考えたこともない

 

【「自分はやってきた」という意識】

Q「恒常的に長時間労働が生じていたと思うが?」

A「自分も月500時間働いてきた。今にしてこうなったかというと、そうではないと
思う。結果ひどいことになって店舗クローズしたが、過去にもこういうことがあり、
その都度、立て直しをしてきた」

Q「GM になるにはどんな資質が必要か?」

A「逃げない心

 

【「全社的リスクマネジメント」の欠如について】

Q「これまでの取締役会での報告では労務問題の主要因が労災で済んでいる。労基法違
反行為があったかどうか、全く分からないようになっている。意図的か?」

A「気づかないことであった。悪意はないが、意識がない

Q「法令違反の指摘は重要だと思うが、親会社取締役会に報告しないのはなぜか?」

A「感性が鈍いということ

Q「親会社取締役会で過労死リスクについて議論したことは?」

A「ない」

Q「この 3 月に起きたことを議論したことは?」

A「報告していない」

Q「とすると、親会社取締役会では何をしているのか?」

A「月次の報告や人事の異動、M&A した子会社のことなど(を議論している?)」

Q「法令違反という認識があるのに取締役会に上がらないのは普通考えられない。それ
ゼンショーの特殊性か?知識がないのか?」

A「双方。言われれば分かるのだが、本当に主体者として解決する努力をするかの現実
は別。そこが問題。その落とし込みを強烈にやらねば」

 

【人員不足の状況での新規出店について】

Q「新規出店すると、AM の労働がさらに過重になる。シフトに空きができると、AM
は自分が入らなければならない。会社はどのように考えていたのか?」

A「出店を優先させていたという回答になる。きついのはきつくなるのだが、それを乗
り越えてこの 10 数年間やってきたから、この店舗数になったし、地域貢献ができてい
ると思う。その負の側面としてそういうこと(過重労働)がある。出店をして日本一
になるんだ、ということに大きな意義を感じていたと思う。今、こうなって AM の負
荷を問われれば(答えに)詰まってしまう」

 

 

■3.調査委員会からの改善提案

1.労働環境を改善しなさいよー

  1. 一定時間以上の長時間労働の絶対的禁止です
  2. サービス残業を防止しなさいよ
  3. 従業員は大事なんだよ?人権と生活を尊重する企業風土を築きなさい
  4. バランスに配慮した投入労働時間の設定、運用しなさいよ
  5. 労働環境は大事だから全社的に教育してよね

2.経営幹部は意識を変えなさいよー

(1)研修会とか作って幹部は以下を学べるようにしてね、まずはお勉強だからね
(2)以下、企業としてのあり方をとことん話し合いなって
  • 社会環境の変化、組織の成長に応じた企業理念と経営はどうあるべきか
  • 企業は誰のものか
  • 企業の社会的責任とは何か
  • 50 年後、100 年後にも、グローバルに存在する企業であるためには何が必要か
(3)話し合いはちゃんと社員に見えるようにしないと駄目よ
(4)自己責任論は捨てなさい。幹部は自分の責任を自覚しなさい

3. 会社の仕組みを変えなさいよー

  1. 親会社とか子会社とかの関係性を明確にして。あとメンバー変えな
  2. 社外の人増やしな?または外部の人間にチェックしてもらいなよ
  3. 充分な数の人雇いなさいよ。もちろん能力を持った人ね

4. 担当者の権限と責任は明確にしなよー

  1. 誰が、どこまで、責任があるのかを明確にしてルール作りな
  2. 自己責任論がこれ以上広がらないよう、自己責任論は駄目だってわかるよう全社で教育ね
  3. ルールは上下関係だけで完結しないように考えなよ

5. リスク情報の伝達経路は明確にしましょー

  1. 危険な情報を手に入れたら取締役会に報告しましょー
  2. リスクはリスクだからね?「そういう感性ない」とか有り得ないから、教育しなよー