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結果がわかってるなら改善しようよ(IT業界の人月問題、多重請負から考察)

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「人月問題」や「多重請負」は「害悪の原因」ではなく結果 - プロマネブログ

上記リンクのブログ記事は下記の記事に対して突っ込みを入れるという形式の記事です。

記者の眼 - IT業界の人月商売、多重下請けがもたらす45の害毒:ITpro

 

双方読んでみた。

感想としては「結果がわかっているなら改善しようよ」って思った。

前者のブログでは取り上げている項目に対して、論のすり替えという指摘が目立った。

でもさ、原因がわかっていて検証も済んでるなら、何で改善しないの?

きっと仕事もロジカルに考えたりしてて、デキナイ人じゃないと思うんだけどさ。

なんかね、うん。すげーかっこわるいよ。

 

はじめに断っておくけれど、記事の批判だけど誹謗中傷の意は一切ありません。

 

 

■1.問題がわかっていても何もしない大人

顧客から自社、自社から協力会社へ、という”上流から下流という立場”を決めて仕事しているから、このような癖がついてしまうのかもしれないけれど。

これってごくごく一般的だよね。

IT業界に限らず他の産業でも同じことが言える。

問題や原因がわからずに迷走することは多々あることだけれど、一番かっこわるいと思うのは問題がわかっているのに何もしないことだと思うんだよね。

個人で出来ることも限られてくるし、普段の業務をしながら対策に取り組むということは大変なことだとも思う。

だけど効果があることなら文句言いながらでもやる人の方が段違いに格好良いよ。

自分が経験して嫌な思いしたことを、部下や後輩、後発の人たちに残していく姿は人間として評価出来ることじゃない。

そんな上司や先輩の背中を見ている人間はどのように成長していくんだろうね。

子供が居たとしたら親の背中はどう見えるだろう?

昨日今日IT業界に入ったばかりの若手よりも、記事の筆者のような立場の人間が内側から問題の原因を特定し、検証を繰り返して改善していくことの方が生産性が高いと私は思うよ。

経験があることで評価される年功序列式の報酬評価も、経験が活かされないのに意味があるんだろうか。

若手に研修でPDCAなんて提示する前に自分からやらないと腐っていくだけだと思うよ。

 

 

■2.自分たちで世界を狭くした効果がそろそろ出始める

IT業界ではちょっと前からクラウドというものが流行っている。

何年も前に導入した古い機器をただ買い替えるだけじゃ商売として美味しくないから、IT業界が仕掛けた流行だと私は思っている。

DropboxGmailなんかもクラウドだけど便利だよね。

会社の業務に関するCRMシステムなんかで代表的なのがSalesfaceというサービス。

会計システムもクラウドサービスが乱立する戦国時代に突入したね。

特にアカウント毎に課金するタイプのサービスは費用計算が容易で、経営者側から見ても手を出し易い。

ハードやソフトの保守料金も不要だしね。

頭の良い人たちはこうやって次々と業界の仕組みとサービスを広げて変えている。

そしてユーザは利便性を考えた結果、自分たちの基幹システムを次第に捨て始めると思うよ。

 

記事の中に「32.システムは特注品のため付加価値をユーザ企業に全部吸い取られる」という項目について気になることがあった。

抜粋は以下の通り。

てか「32」なんてひどい話。ユーザはITにより新たなビジネスを生み出すために仕事を依頼しているわけで、ユーザに吸い取られるって。。。お金を出してくれるユーザのIT投資全否定してどうするの。全ての投資活動、BtoBの仕事を否定しているようなもんです。

私は全ての投資活動やBtoBの否定にはならないと思うよ。

IBMMicrosoftの先行投資はバフェットのような投資家たちが行ってきたんだよ。

その投資家たちは最初からIBMMicrosoftのユーザだったわけじゃないでしょう?

自分の顧客だけがお金の出所だと思ってしまうと世界が途端に狭くなってしまう。

それにユーザはIT投資するためにお金を出していないよ。

会計上の言葉の定義で「投資」と定義しているだけで、ただ自分たちの仕事がシステムによって便利になればいいなってお金を出しているんだよ。

そこで気になったのがこれ。

たしかに、ユーザが無駄なプロセスを作るのは、ユーザにとってもためにならないし、オッサンも要件定義等の際には「このプロセスは省力化できるような作りにしましょう」なんて提案することあります。

ただ、あくまでベンダができるのは提案まで。最終決定はユーザの責任以外に他なりません。

これって、「大盛りサービスだからって食べ過ぎて太ってしまった。賠償しろ」って言っているようなもんじゃあないですか。。。言いがかりにもホドがある。

日本という国では飲食店で注文したものが自分の思い通りじゃなかったらお金を払わなくても良いんだよ。

だからわかりやすい「メニュー」という共有出来る定義を作っている。

お客さんの思い通りじゃなかったらお金は貰えないからね。

実際に筆者の言う通りに「大盛りサービスで太ったから賠償」ということで裁判になったとしてもお店側が賠償する可能性は少ない。

でも日本IT業界のSIer屋さんはメニューという共有定義を持ってることは少ないよね?

お客さんによってメニューを変えることが業界において一般的だから、お客さんだってメニューについてわからないことが多いんだよ。

だから成果物よりも責任の方に視点がいっちゃうと思うんだ。

「そういう仕事内容、契約内容だから仕方ない」って人も多々いるけれど、原因がわかっていて放置しているだけのように思えるんだ。

 

 

■3.一体あなた達は将来どうなりたいの?IT業界をどうしていきたいの?

記事としては突っ込み記事の形式だったので、筆者が自分がどうしたいのかは書いてなかったのは悲しかった。

これだけIT業界にどっぷり浸かっている人から、反論や指摘だけじゃなく、自分はどうしたいのか、という要望や要求があったらすごく良かった。

 

他にも「41.経営がリスクを取ることに不慣れ」なんかも、リスク志向は経営戦略の問題なので、不慣れだからって問題にならない場合もありますよ。低リスクで安定した収益を稼げるってことだって、立派な価値として評価される場合もあります。

記事の中でこのような意見があった。

すごく怖いことが書いてあった。

低リスクで安定した収益を稼げることが出来なくなった時に、経営者も含めて筆者は一体どうするんだろう?

既にオフショア開発や、クラウドサービスという安定した収益を脅かす存在が現れ始めているのにどうするんだろう?

労働派遣法が変わり、専門職にも一般労働者を派遣できるようになったらどうやって食い扶持を確保していくんだろう?

 

「人月商売」の害悪は、「36.技術者数で売り上げが決まり、成長が難しい」。これは間違いないです。再委託先ベンダを見ると、確かに技術者稼働率が重要目標としているベンダもたしかにあります。人月商売は安定的で低リスクな反面、スケールが効きづらいのは間違いないです。

「多重請負」の害悪は、ここには書いてないですけど「委託横流しによる利益中抜き」が問題じゃないんですかね。つまり、エンジニアへのフリーライド。

人手不足業界に認定される日本IT業界で今後、技術者数が増えることは難しくなっていくと思うんだけど、戦略的にどう考えるのだろう?

問題とわかっているなら、何でもっと掘り下げて改善策を考えないんだろう?

 

 

■4.今後のIT業界の変動予測

ユーザや顧客も馬鹿じゃない。

システムを自分たちに合わせるよりも、自分たちがシステムに合わせる方が生産性が高くなるとわかってきているからCRMサービスにどんどん乗り換えしていっている。

既存の請負案件で残っていけるのは金融機関の基幹システム、顧客情報DBシステムの運用保守、インフラ運用の3種じゃないのかな。

でもそれらが発展して市場の規模が2倍、3倍になるなんてことはそう易々と訪れることはないと私は考えている。

だから今後の日本のIT業界はSIerはじわじわと縮退、Web・クラウドサービスは若干増、インフラは変わらずという変動が予測できる。

ということはIT投資はWeb・クラウドサービスに集中する傾向が訪れる。

政府の起業支援方針やクラウドファウンディングも注目だけど、これはITと関係ないか。

新しいサービスが次々と産まれては死んでいく群雄割拠時代が訪れると予測する。

次の波は如何にユーザの標準ツールに伸し上がるかが鍵になる。

 

 

■ 終わりに

小さいことかもしれないけれど、正しいことは繰り返す事で効果や成果を上げてやがて他人を巻き込んで業界全体を変えることになると私は考えている。

お金なんて何やっても稼げるんだから、どうせなら人として格好良く仕事していきたいじゃないか。

部下や後輩、自分の子供に背中を見せられる大人で居たいよ。

筆者にもぜひとも頑張って欲しいと思うし、日本のIT業界はもっと変革することを受け入れるべきだと思う。

頑張れという言葉を多用する癖に、金・知識・時間の協力をしない夢見るIT老害共に負けないで欲しい。