システム屋のセンスの無さが悲しい
「日本人の生産性」は先進国で19年連続最下位 非効率なホワイトカラーの働き方はどう変わるべきか|うちの会社のスゴい商品をヒットさせる方法 石黒不二代|ダイヤモンド・オンライン
「生産性」への着眼点は良かったがその後の理論展開にストーリー性が全く無いのが、
あくまでシステム屋としての意見という範疇を超えていなかったのが悲しい。
クラウド化への強引な誘致と見受けられてしまった。
記者へはもっと生産性向上への思考を張り巡らして欲しいと期待している。
■1.本論の不可解な点
(1)労働力低下の問題と生産性向上は違う
労働力低下の改善策として移民と女性活用を提案しているが、
その後に続く生産性向上への文脈導線としては理路整然としない。
労働力を単純労働力として分母、生産力を分子として生産性を割り出すならば
母数を増やしてしまったら余計に生産性は下がるのではないか?
生産性を上げましょうというその後の展開とは逆の対策である。
式)単純労働力(人数) / 生産力 = 労働生産性
(2)生産性への定義が欠けている
ブルーカラーとホワイトカラーの生産性が違うことについては触れていたが、
何が違うのかと具体的な違いについては述べられていなかった。
これについて定義できなければその後のシステム利用の説明の核がブレるだけ。
(3)考えが古すぎる
「ログを取って改善!」っていつの時代だよって思う。
ドラッガー信者が嫌いなわけじゃないけれど、ログ取って改善すると
どれくらいの生産効率のアップに繋がるの?
純粋に疑問に思った。1例でも良いから導入事例を挙げて欲しかった。
また自分たちの過去を否定するかのように「システム作りに問題が!」って言ってるけど、
そうなったのってあんた達システム屋が勧めてきたからじゃないのか?って
心の底から思った。
「御社の業務や業態に合わせた」なんて言葉は耳にタコが出来るくらい聞いてきたわ。
なんというブーメラン発想。
それにいちいち業務システムを受発注するのにデザイン費なんてとってねーだろ。
嘘言うなや。
業務システムの構築部隊が作ってるからデザインやUIが糞って言われてるのが既存の業務システムだろーが。
「クラウド」という言葉だけが一人歩きしていて、結局使いこなせていない点が同じシステム屋としても悲しいと思った。
こういう営業されるとマジで現場が困るから止めて欲しい。
セールスフォースだって結局画面デザインは業務システムをやってるような人たちが作ってるから、自分の首を自分で締める結果に繋がるんだけど。
(4)え?この例って生産性向上と繋がってる?
新しい商品を売る時と既存商品を売る時、新しい顧客へのアプローチと既存顧客へのアプローチはまるで違う。
こういう分析までシステム化出来るのであれば一興あるが、システムでログ取るからあと考えるのは御社の自由っしょって、丸投げするのはビジネスマン的にどうなのよ。
行動パターン、勤怠、経費精算、原価の把握くらいしかメリットねーなって経営者ならこのプレゼンについては思うけどなあ。
■2.経営者目線でシステム化することへの考え方
(1)システム化する上での効率削減指標
システムにあまり詳しくない人向けです。
新しくシステムを導入して効率向上する一つの指標としては10ある効率が1か2になるならすぐにでも導入するべき。
3〜6程度であれば導入コストとの見合いを出しましょう。
導入コストは単純にシステム屋さんに払う費用のことではなく、自社の人間がそのシステムを使用する切替にあたるコストも含めましょう。
はっきりいって現場で生産をしている人間にとっては新しいシステムなんか邪魔で迷惑以外のなにものでもありません。
システム屋さんは責任分解としてその辺のサポートや面倒なんか見てくれません。
7〜9の場合、導入する意味があまりないので見送るのが御社のためです。
そんな端数のコストをカットしたところで現場負担と見合いすれば意味がないことがわかります。
ヒーローシステムを探すくらいなら福利厚生面の改善などで、御社の人材を育てた方が御社のためです。
(2)システムを導入する目的を間違えないように
システムを導入して更なる改善やイノベーションを期待するのであれば、自社の業務フローに合わせて開発することはしない方が良い。
分かり易く言えば、「社内の馬鹿や出来ない人間を対象にしてシステムを構築するな」ということだ。
システムは入力ミスや入力漏れをチェックすることが目的じゃないし、データを集めることが仕事じゃない。
はっきり言ってそんなものは時間の無駄だし、御社の発展の障害になるだけ。
システム費用と出来ない人間に対する人件費を捻出しながら発展出来るだけの自信があるなら私は止めはしない。
記事にあった「セールスフォース」というシステムは業務の効率化のためにあるものではない。
システムは導入する事によって自社の業務フローを世界標準に合わせてくれるという大きなメリットがある。
システムに合わせるというと日本では馴染みが無いが、世界で成功しているシステムを使用することで自社の業務フローは世界で通用するようになる。
そしてその世界標準で仕事をする社員は徐々に能力を高めてくれる。
だが、これを背景に導入を勧めてくれるシステム屋さんは実は日本にはあまりない。
なぜならシステム屋さんの利益が減るからだ。
システム屋さんとしてはライセンスから開発、運用までお仕事を頂けた方が利益が上がり美味しい話となる。
頭の古い人間が椅子に座っているシステム屋ほどそんな視野の狭い話で仕上げてくる。
ぶっちゃけ御社の発展なんて願っちゃいない。
長年の信頼関係という口上を言い出すのであれば、システムがもたらす利益を聞いてみると良い。
きっと「コスト」としか言わないから。
(3)システムで未来を作るべき
私が幼い頃、未来の絵では車が空を飛び、仕事はロボットに任せていた。
今開発されているシステムの多くは車が空を飛ぶのに直結しないと思うけれど、
自分の会社が使うシステムくらい、これから新しく導入するシステムくらいは
未来を作れるようなシステムにして欲しい。
それは別に宇宙開発だとか、最新の医療を補助するものじゃなくてもいい。
ほんのちょっと先の未来を作るためのシステムであってほしい。
システムの新陳代謝は他の産業よりも遥かに早い。
システム開発に着手し、リリースする頃には新しい仕組みが世に産まれている程だ。
納品されたシステムに対してお金を払うのではなく、システムを使用して生産する社員のため、そのシステムを管理する社員、そしてシステムを使って本気で御社の業績を上げようと日夜努力しているシステム屋に対しての投資であって欲しい。
そしてその投資が人を育て、その人達が未来を作ることを助長してくれることを心から願いたい。